追想 栗木 達介 展

2020年10月9日から開催の「追想 栗木 達介展」のDM
PHOTO / 高木 茂樹
DESIGN / 牧野 明美

追想

栗木 達介展

2020年10月9日(金)〜10月25日(日)

11:00 – 18:00 休廊日 [月・火]
栗木 達介先生が逝かれて、早7年が経ちました

2001年3月に開催の加守田章二展、河本五郎展を機に、京都から
充分でない身体を押して度々光玄にいらして下さいました
かつて、1983年〈銀彩とかたち〉、1988〈銀彩陶の世界- 3都市巡回〉、
1996年〈作陶30年- 形と模様の推敲〉の3回の個展を
担当者として関わってきました

先生が病魔と闘っておられる時に、励ましのお見舞いとして
哲学者 梅原 猛氏の至言
「すぐれた作品はすぐれた人間によってしか決して創られない」と喝破
この名言は、現代陶芸界においてその最前線に在られる
栗木先生をおいてありませんと強く確信しております (2011年7/28 私信より)

今回の展示作品は 1983年、1988年、1996年を主に
限られた点数ではありますが、在りし日のお姿を偲びつつ、
斯界から行く末を大いに期待されておりました所以を
感得していただければと存じます
ご清鑑下さいますよう ご案内申し上げます

令和2年10月8日
2020年10月9日から開催の「追想 栗木 達介展」の栗木達介の作品1
銀緑彩文 丸皿 1983

w29 H4.0

2020年10月9日から開催の「追想 栗木 達介展」の栗木達介の作品2
銀緑彩文 花器 1983

w29 D16.7 H28

2020年10月9日から開催の「追想 栗木 達介展」の栗木達介の作品3
銀緑彩文 花器 1983

w29.4 D16 H28

2020年10月9日から開催の「追想 栗木 達介展」の栗木達介の作品4
銀彩文 扁壺 1986

w21.5 D19 H25


1943(昭和18)〜2013(平成25)
栗木達介 略歴
1943年
11月20日 愛知県瀬戸市に生まれる
1966年
(23才)京都市立美術大学卒業
1969年
(26才)朝日陶芸展大賞('71 '77)
1970年
(27才)個展(東京・青画廊)
1974年
(31才)日本現代工芸展大賞 中日国際陶芸展大賞
1977年
(34才)日展特選('84)
1978年
(35才)日本陶磁協会賞
1979年
(36才)愛知県芸術文化選奨受賞
1980年
(37才)「現代陶芸百選展」出品(日本経済新聞社)
個展(赤坂グリーンギャラリー'82、'84、'91)
1983年
(40才)個展(名古屋松坂屋)
京都市立芸術大学美術学部 専任講師に就任し京都へ転居
1988年
(45才)三都市巡回個展(名古屋松坂屋、大阪大丸、東京三越)
1993年
(50才)京都市立芸術大学 教授に就任
1996年
(53才)9月 作陶30年栗木達介展 -形と模様の推敲-(名古屋松坂屋)
1998年
(55才)6月 第13回現美展(形を離れる帯模様'98)
1999年
(56才)1月 日本陶磁協会賞展 -第40回記念・歴代受賞作家による-
招待出品(東京・和光)《銀梟》('98)
2000年
(57才)7月 第12回MOA岡田茂吉賞展工芸部門大賞受賞
10月 敦井美術館「森陶岳と栗木達介展」開催
2002年
(59才)5月 第15回京都美術文化賞受賞
作品展示「栗木達介展」(京都・中信御池ギャラリー)
2005年
(62才)4月 菊池實実記念 智美術館「第1回菊池ビエンナーレ」
審査員をつとめる(第4回まで)
2007年
(64才)3月 京都市立芸術大学退任 名誉教授となる
2010年
(67才)10月 敦井美術館「加守田章二と栗木達介展」開催
講演会講師をつとめる
2012年
(69才)4月 文化庁主催「日本のわざと美 - 近現代工芸の精華」展
(イタリア・フィレンツェ)招待出品
9月 東京国立近代美術館工芸館
「現代の座標 -工芸をめぐる11の思考- 」展 招待出品
2013年
10月 逝去 享年69才
2015年
8月 現代陶芸の鬼才「栗木達介展」京都国立近代美術館
10月  東京国立近代美術館
2017年
11月 創作に身命を懸けた燦人
河本五郎、加守田章二、栗木達介展(アートサロン光玄)
2020年
10月 追想 栗木達介展(アートサロン光玄)


自分にとって美しいと思えるやきもの姿の正体を、
可能な限り確かなものとして感じとりたい

彫刻との絡みから
いかにしたら火の中を無理なくくぐり抜けられるかを
形の上から探ることも、仕事を創造的にしてゆくうえで重要なこと

自分の理想とする仕事のあり方は、
作業の一つ ひとつを 手がかりとして、
やきものの計り知れない底力というか、潜勢力を引き出し、
それに励まされ 続けてゆくこと

作る根拠を失ってしまったから、
考えなければ仕事が出来ない。
それはなぜかと、僕は考える……。

仕事の惰性を戒める
仕事が習慣化して、単調になり易いのを防ぐ

創造的な作業として自覚されるためには
仕事が習慣化し、惰性化してゆくことから
絶えず自分を意識的に引き離してゆくしかない

炎芸術 No.44 <1996>

その仕事が 自分の職業としてしっかり受け止められるためには、なぜ、
自分はそれを仕事にしようとしているかという、動機づけが大事。
最初の志しが、良くも悪くも全てを決めるのだろう

何事においても 人が何といおうと、失敗と判っていても、
ともかく自分でやってみないと承知出来ない

生き方の美学 … 生活の苦労や職業臭さを表に出したくない

自分の仕事の方向性を明らかにしてゆかないと
現実に流されざるを得ない

日本の現代陶芸に欠けている
或いはその弱点を 意図的に探る

自分の仕事の方向づけをはっきりさせていくうえで
日本の現代陶芸は、なぜこんなにも現代美術の状況に翻弄されて、
新しい絵画や彫刻への対応に忙しいのか? なぜ、やきものは、
自前の舵とエンジンで現代の創造の海に漕ぎ出せないのか?
といった素朴な疑問が、自分の仕事の自立の根本に関わる、
とても大事なことに思われる

炎芸術 No.44 <1996>

新しい創造に繋げるためには、基本の考えが明解で、
しかも、やきものに対応できるものでないと、
なかなか狙い通りには運びません。
僕は何よりもまず、自分の仕事をほかに置き換えられない、
やきものそれ自体の主体的な創造として捉えたかった。

形の変え方、変わり方を「膨らみと窪み」、「曲がり」、「傾き」
という概念に置き換えて、定式化。
この三つを複合して基本形体に応用すれば、
どんな複雑な形でもできると思う。

炎芸術 No.45 <1996>

現代の陶芸を考える(芸大の学生に向けて)

自分を立ち上げてゆくためには 闘わざるをえない
権力構造に巻き込まれないために 絶えず闘うのです
自分との闘いであり 他者との闘いでもある

自分で作って生きてゆくことを原則にするということ
ものを作ることによって、生きてゆくところから
はじめた方がいいと思う

「やきものの世界では、呪文を唱えるように、
すませてしまっていることがあると思う。
つまり、論理性において厳密さが欠けていると思う。」

「展覧会に出品するのなら、
目的意識をはっきりさせること。
キャリアアップのために出すのも僕は、いいと思う。
トレーニングを目的に出品するのもいいと思う。」

炎芸術 No.48 <1996>

光玄での 栗木 達介 の企画展
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